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Interview 08 常冨泰弘さん

2018/03/26

なるほど。でも、何ていうんでしょう。すごくこう世界が違うような気がしたんですよね、「先生」という職業と「心理カウンセラー」は、似ているようで、なんか全然違うイメージがあるんですよね。僕の中では。

私も全然違うような印象を最初の頃は持っていましたけど、やはり、共通点もいっぱいあるんですよね。特に最近では、私が教員時代にロングホームルームでやっていたゲームなどもセミナーで取り入れたりしていますし。

感情を出して心を解放させるためにやる色々なゲームは教員時代からやっていることと同じなんですよね。対象が生徒じゃなくなって、大人になっただけで、やっている中身は似てるな~って最近は思い始めましたね。教員やっている頃から潜在意識とか、ユングとかいうのは好きでしたしね。「現代文」の主人公の心理とかを考えるのも好きでしたし。

喜多川先生が講演でおっしゃる「人は通りやすいルートしか通らない」っていうのは、まさに悩んでいる人のやることですよね。悩んでいる人は、こうしかできない。行動が限られてくるんで、他のことができない。

そういう人ってどうするんですか?つまり、いつも同じことだけをしようとして、そこからそれようとしない人には、どうアプローチして新しいことに向かわせるんですか?時間をかけて、土台の部分からいくんですか?

カウンセリングの順番としては、その人は、なぜそうなったのかというのを探って行くんですけど、お父さん、お母さんから、何歳くらいの頃にそういう「アンカー」を打ち込められたのか?を探っていきます。

「お前はどうせやってもできないんだから」とか言われて、「私はダメなんだ」と思い込んでしまったとか、お母さんが忙しすぎて、子供が甘えようとして近づいていった時に、「忙しいから向こうで遊んでなさい!」って怒られてお母さんに近づくのをやめたとか…そういうのが出てくるんですよね。
これは普段忘れているんですけど、あるやり方でカウンセリングしていくと、思い出してくるんです。
そこで自分の感情を感じて、そのとき癒されなかった感情を、もう一回そこで癒してあげる。
そうしながら、自分で刷り込んでしまった「私はこうしちゃいけないんだ」という思い込みを新しい思い込み、「近づいていいんだ」とか「自分は重要なんだ」とか、「愛されているんだ」とか、「やりたいことやってもいいんだ」というような新しい信念を持てるようにしていきます。

そうすると性格的に全く変わるものなんですか?

変わって行きますね。もちろん個人差はありますが。
今まで、鬱で外に出られない人や、摂食障害だったり、あるいは、仕事をしたいのに仕事もできない対人恐怖症とかそういう人たちが、どんどん外の世界に出れるようになったり、明るくなったり、やれることが増えていったりするのをこれまで何度も目にしてきましたので。

行動が変わって性格も変わっていく。

本当にその土台の部分を癒やしてあげるだけで、人生に選択肢が増えますね。今までは「やらない」という選択肢だったものが、「やってもいい」と思えるというのは大きな変化なんですね。やらなくてもいいし、まぁどっちつかずでもいい。それだけで選択肢は無限に広がっていく。今までの「やらない」一択とは大違いで、すごく生きやすくなるというか…力が抜ける感じになるんですね。

そうなんですね。
高校を辞められてから、そういう勉強をされて、自然と触れ合うということもされて、本にも書かれていますけど、自然から学ぶこともすごく沢山あるじゃないですか、そういう生活も、熊本でも経験されて、で、今のお仕事をやられているという…今の自分から見て、ご自身の中で先生の頃にこれをやっておくべきだったなとか、思うことはありますか?

いっぱいありますね!
教員をやっていた頃は若かったし、社会を知らなかったし、経験もないですし。
あ~、あの頃こういうことを知っていたら…いろいろなことで役に立っただろうなというのは感じますね。

生徒が相談に来た時とか、ちょっと声をかける言葉とか。
当時は先輩の先生を見て、あまり考えずに、言われた通りにやったりとかしますんで、
「なんでこんなことしているのかな~」とか思いながらスカートの丈を測ったりとか(笑)
「オンザマユゲ」とかね~やってましたらからね!

やっぱり、それはなんていうでしょう、他の世界を見ないと気づかない違和感みたいなものなんでしょうね。一旦、外に出ないとわからないというか。

それもありますね~…

僕も仕事の関係で色々な方と接するんですね。学校の先生もいるし、普通の商売人の方もいるし、主婦の方もいるし、本当に色々な職業の方がいる。そうすると、常識もみんな違うんですよね。例えばメール一つとっても、その人はその人で、自分のスタンダードでやり取りをしているんですけど、受け取る側は全員が全員違う、その応対、向こうが送ってくるものだったり表現だったりが全員違いますよね。そうやってみているとその職業の「常識」と言いますか「特徴」みたいなものがうっすら見えますよね。

例えばどんな感じなんですか?硬いとか?

硬いというのとも違うんですが…言葉で表現するのは難しいですけどね、特徴はあるんですよね。
そういう、その職業の特徴みたいなことを考えたときに…僕自身のことを考えてみても、塾の先生の世界だけしか見ていないときっていうのは、すごく視野が狭いんですね。価値観もそうですし、子供たちの幸せって何だとか、何のためにこれをやっているのかということも、ある意味迷いがないといいますか。自分では「いいことやってる」と疑いなく思い込んでいる。自分たちのやり方が一番いいんだって。でも、外の世界に一歩出てそれを観察すると、まったく、ついていけない価値観だったりするわけです。本当は迷わなきゃいけないんじゃないのかなというところも、迷いなく、自分の役割はこうだからって割り切ってできちゃうとか…
だから一歩外に出て、自分の業界を見るというのは本当に大切だと思いますよね。僕もよく、他の世界、他の業界をできるだけ見てやんなきゃないといけないとアドバイスしますし、自分自身にも言い聞かせているんですけど…
同じように、今、常冨さんが見ている様々なものを教員時代に見ておけば、例えば教員をやっているときに色々なことに気付けたかなってみたいなことがあるっていうことですかね?

そうですね~…いや、もう反省ばっかりですね!
未熟だったな~って。

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