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Interview 11 正頭英和さん

2019/04/09

実は僕は、正直、正頭先生から伺って、初めてそういう『賞』があるんだって知ったんですけど、この賞の存在自体は、以前からご存知だったんですか?

存在自体は知っていましたけど。まぁ、自分には完全に無縁な世界だと思っていました。

ただ、うちの場合はマイクロソフトという会社と一緒にいろいろなお仕事させてもらっているということがあって、教育チームのトップの人が色々と親しくさせてもらっているうちに

「先生色々と頑張っているし、やってみたら?」

っていうことでお話を受けて。

「そうですね」なんて曖昧に話を合わせていたら断れてなくなってしまって(笑)。まあ何でも挑戦してみないと…と思ってですね。

それでも、「挑戦してみないと」でエントリーしたら、世界約150カ国の30,000を超える先生たちの中からトップ10に選ばれるわけですから凄いですよね。

あの連絡がきた時は、ちょっと焦りました。本当に焦りました(笑)

エントリーはどうやってするんですか?論文ですか?授業のビデオとかですか?

授業のビデオもそうなんですが、向こうからの10項目ほどの質問項目に答えます。字数制限もありますが全部答えると A4 10枚くらいになるでしょうか。結構大変で、当然、質問と答えは全部英語でやるので、その段階で結構な人がふるいにかけられてしまいますよね。日本人なんか特に。その後、スカイプ面接がありましたね。

そもそも「グローバルティーチャー賞」というのは何のために開催されているんですか?

ほんとうに素晴らしい活動をしている先生が世界にはたくさんいるということを知って欲しい。そして「先生」という職業に就いて本気で、子どもたちや彼らを取り巻く社会を変えたいと思って活動している人を応援したいということだと思います。

日本だけではなくて、世界的にも学校の先生たちは社会の中で自由な活動がしにくくなっているんです。例えば、モンスターペアレンツなんて現象は、別に日本だけの現象ではなくて、世界的な現象なんですね。そういうことで苦しんで、様々な新しい試みに挑戦することすら出来ない先生たちを救いたいっていうことじゃないでしょうか。

だから、受賞した先生が活動をするための活動資金も賞金として出ます。優勝賞金は一億円くらいだったりもします。今年のトップ10の発表は、ヒュー・ジャックマンでした!彼に名前を呼ばれるなんて、もう二度とない経験でしょう(笑) 

え~!そうなんですか! じゃあトップ10を表彰して終わりではなく、優勝者まで決めるんですね?

優勝者が、いわゆるグローバルティーチャー賞です。ですから正確には僕は受賞したわけではなく、トップ10にノミネートされたんですよ。

トップ10もノミネート段階なんですか?

そうです、3月のドバイで10人の中から優勝者が発表されます。

トップ10ファイナリストに選ばれた決め手みたいなものはご自分では、どう分析されているんですか?

決め手は、やっぱりICTっていうか「課題解決型学習」だと思っています。

教科を横断して、英語の授業なんですが、社会とか…他にもいろんな要素が入ってくる授業を展開していくんです。

今ちょっとお見せしようと思って、「マインクラフト」っていうゲームをご存知ですかね?

その「マインクラフト」の「エディケーションエディション」というものを、教育版マイクロソフトが出しているんですが、これを授業の中で使ったっていうのが、取り組みとしては面白いと感じてもらえたんじゃないでしょうか。

子ども達の中では、やっぱり『勉強』って『遊び』の反対って印象があるんですよね。僕の中では遊びと勉強の境界線はない…というよりも、なくなるような授業をすればいいだけだと思うんです。

子ども達はよく、授業で目標を作るときに「メリハリ」って言うんですよ。

でも、遊びも勉強もこれからの時代は絶対一緒になるから、「めり」とか「はり」とかいらないからっていう話をして、「遊びと勉強が一緒になるものを何か作ろう」っていいながら、マインクラフトで授業を進めていきました。

これが子ども達の作った「平等院鳳凰堂」なんですけど、結構リアルに作っていて…

実は、もともとはこういう何もない更地なんですよ。一個一個レゴみたいにブロックを置いていって作ると、小学生でもここまで作り込むことが出来るんです。

これを「○時間以内に作りなさい」って時間制限を設けると、子ども達は、必然的に協力しないとできないんですね。そうすると「こっち側を作っておいて。僕はこっち側を作るから~」ってなってくる。でもそれだけでは左と右で位置関係がズレたりしてチグハグになっちゃうので、数字を使いながら、コミュニケーションをとって、この位置のこういうところは「縦4、横3」とかいう情報を、数値をやりとりをしながら…論理的思考力を育てていく。それを英語でやるんですね。

そうすると自然と英語によるコミュニケーション力が身に付いていく。

ここで作っているのは「平等院鳳凰堂」ですが、それを作るためには、社会の知識も必要になってきますよね。幸い平等院は京都にあるので、「じゃあ実際に行ってみよう」ってことでみんなで行って「こうだね~」って見て、じゃあ作ろうって。

せっかく作るんだから目的はどうするかも話し合うんです。「誰のために作るの?」って。そうしたら子ども達は「京都に来られない外国の人のために作ろう!」って。

で、実際に作ったら今度は、「観光ガイド」が欲しいよねっていうことで、こういうロボットがいるんですけど、このロボットにガイドをさせるようにしたいと。

で、この時に、実は今、小学生に言われている「プログラミング学習」ができる。ロボットにガイドさせようってなると、プログラムしないといけないんですね。

「ブロックコード」っていう簡単なものなんですけども、ここに「コマンド〇〇」って言ったら、「何々させる」ってなって、ロボットをプログラムしていくっていうことを自然と身につけていくんです。

そして最後に、作った作品をスカイプで海外の学校と繋いで。海外の子ども達って、結構ズバズバ言うんで、「すごく良いね~、でも、こことこことここの意味が分からない!」みたいにはっきりとズバッと言ってくるので、それを傷つきながら、修正していく…という…(笑)

へぇ~(笑)

ICTという時間に英語だけではなく、色々な教科を総合して一年間かけてやったっていうことが評価されたんだと思いますね。

 

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