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Interview 11 正頭英和さん

2019/04/09

これは、授業もすべて英語でやるんですか?

いや、調べるところは社会でやって、作るところは、ICTのという情報の授業のところでやって。

で、コミニュケーションのところは英語を使って?

そうですね。この「ブロック」とかも日本語でも出来るんですけど、あえて英語にしてやっていくっていうことをしました。

正頭先生が授業でいつも注意しているポイントはありますか?

「英語は話せる方がいいか」

という問いがあります。

「どちらにでもなれるのなら、英語が話せたほうがいいか、それとも話せない方がいいか」

って聞いてみるんです。そうすると小学生はみんな

「話せた方がいい」

って答えます。

でも僕は、

「英語が話せない方がいいっていう人間がいるとしたらどんな人だと思う?」

っていう問いを必ず授業の最初にやるんですね。

それをグループで話し合せたりして、最終的に子ども達が辿り着くのは、

「悪口をいう人」

 

「そうだね、悪口を日本語で言ってる分には海外の人には通じないからね。でも、その人たちが英語を話せたら悪口言えちゃうからね。悪口を言おうとしている人は英語なんか出来ない方がいいって言えるかもね」

そんな話をします。

「英語を学ぶには資格が必要なんだ。どんな資格が必要かっていうと、ちゃんと人の心が理解できるっていう資格が必要なんだよ」

そのことを、必ず4月のオリエンテーションで言いますね。だから、人を笑うとか、人を傷つけるとか、という雰囲気のことに関しては厳しく接しますね。英語を学ぶ資格がないということになりますからね。

もちろんそれは英語に限らず、すべての教科のすべての知識に当てはまることですもんね。

そうですね。英語なんか出来なくても幸せな人はいっぱいいるから、英語が出来たら可能性が広がる人にならないと。可能性を失う人になるくらいならやめた方がいい。人と人との繋がり方を忘れちゃった人は、やっぱダメだよっていう話はしていますね。

なるほど。最初のスタートの段階から道具の使い方という、一番大事な部分を押さえつつ、授業を進めていくんですね。

それこそ、もう、パクリと言われたらあれですけれども、喜多川先生のお話もよく使わせていただいています。「鬼に金棒」の話とか。

なるほどですね。逆にご自身の課題みたいなものは見えているんですか?

「とにかく英語を使おう!」っていう授業をしているんですよね。

とにかく失敗を恐れずに英語を使って、使ってなんぼの世界だと思っているので、やっていこうっと。そうすると子ども達もやっぱり、だんだんノッてくるんですよね。実際に失敗を恐れずに使おうとするんです。

そうすると、徐々に正しい文法から外れていくんです。でも、

「先生、文法なんかなくても通じるよ」

って子どもたちも思ってしまうんですよね。実際に通じちゃうので。ただ、そうなると、どこかで頭打ちするんですよね。

小学生くらいでは別に頭打ちしたりはしないですけれども、そのままいくと、中高で頭打ちするので…でも、今の僕は、彼らが中高生になるまで担当していないんですよね。

あまり無責任なことはしたくないし…でも今の段階ではとにかく使うことが大事…だから、どこかでは文法やろうね、なんてことは言うんですど…その辺が、6年生という一年間だけの授業の中で英語の全体像をどこまで伝えられるか…ってところですかね。

今年2019年にグローバルティーチャー賞、トップ10ファイナリストに選ばれた訳ですが、この先、正頭先生の目指す先はどういったところですか?

使命と言ったらちょっと大げさかもしれませんけど、僕がこれから命を使いたいなっていうものは、「教師教育」と言いますか、『先生の育成』ですかね。

講演活動も規模は小さいながらも少しずつ依頼をいただいて、やらせてもらっていますし…本当に、僕が想像もできないような修羅場で苦しんでいる先生とかもいっぱいいて、「死にたいです」っていうような相談も受けたりするようなことがあるんです。

でも、僕の話を聞いて「頑張ろうと思います!」って言ってくださる方がいたときに…あぁ、そういう先生たちの力になれるっていうのは、恵まれているというか、有難いというか、幸せなことだと感じたんですよね。

ダイレクトに人(苦しんでいる先生)の命を助けているのかもしれない、と思うと、僕が見ているのは今は30人の子ども達ですけれども、もし30人の先生を教えたら、その後ろに何百・何千人の生徒がいて、その先生達が何年も先生を続けると何万という子どもたちが幸せになるじゃないですか。そういう形でも教育に貢献していきたいって思ってます。

 

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