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Interview 07 白水 剛さん

2018/01/29

今回は、福岡県春日市で「くすの木幼稚園」「もみの木幼稚園」「森の木幼稚園」
の三園を経営されている学校法人白水学園の理事長、白水剛さんにお話を伺いました。

よろしくお願いします!白水学園を訪れていつも感じるのは、遊び心がいたるところにあるということなんですよね。幼稚園もそうですし、職員室やバックヤードもそうですけど、白水先生の遊び心が表れている。それは何か意識されているんですか?

 

はい、実はですね、ホテルマンを辞めて園を継いだ時はガチガチの職員室で「教育者たるものは」みたいな感じで、窮屈で仕方なかったですよ。
なんかこう『副園長』しとかなきゃいけない、立派なことを言わなきゃいけない。みたいな。
そんなのがすごく嫌でですね、借り物の自分みたいで。なんかですね、自分が自分じゃなくて、
本来の僕はやっぱり運動や音楽が好きだし、遊びも大好きだし…もっとそういう『人間:白水剛』っていうのを全面に出していこうかなって思ったら、だんだん楽しくなってきて。
先生達との距離もすごく近くなってきて。そうした方がいいというか、「あ、素の自分でやれば良いんだ」っていうことに気付いたんですよ。

やっぱり、ドキドキ ワクワクっていうのが基本だし。
素の自分を出し始めてから、
「そっちの方がいいんだ。自分も自然体でいれるし、相手も自然体で接してくれる」
っていうのが分かってきたのが大きかったですよね。

 

本当、色々なところに色々な遊び心があるなって思いながら見学させていただきました。遊び心って言ったら変ですけど…

 

いや、遊び心ですよ、根幹は。
そういうのが好きな方は来ていただきたいし、(先生志望の)学生も保護者も。
こういうのは嫌だ、教育機関なのにどうかなっていう方がいても、別にそれはそれでいいんじゃないかなって。しっかりと保育をやっている自負もあるので。

 

白水学園さんに来る度に、子ども達のこともそうですし、そういうちょっとしたところですけどね、いや~面白いなって言ったらなんか変ですけどね。僕は雰囲気がとても好きなんですよね。

 

そう思ってもらえるのが一番嬉しくて。
こんなに遊んでいいんだとか、楽しんでいいんだとか。
理事長・園長っていうのはやっぱ肩書きとしてあるし、教育者であらなければならないっていうのもあるんですけど、正直、なんかいい歳こいてガキ大将の気持ちです。
僕はそんなリーダーでいいのかなって考えていました。そんな時期が長かったんですけど、見ていただいて分かるように、今はもう先生達は、私の考え方を理解してくれて、自分たちで考えてやってくれているんで、今はもう、リーダーと言うよりもサポーター的役割です。

 

そういう、実際に園を動かしてくれるような人財はどういうふうにして育てるんですか?

 

育てた感覚は正直あんまりないんですよ。
一緒に困難を乗り越えてきて、一緒に感動してきて、正直、ぶつかる時もやっぱりありました、
昔は、先生がその時の感情であったり、自分だけの都合ですぐに文句をボーンって言って来たりすることが許せなくってですね、内心「この野郎!」って思ってたんですけど…(笑)

やっぱり出会いによって自分が変わりました。
一人は、今の、園のナンバー2、関先生です。彼女と出会わなかったら、今の僕はないと思います。もう一人は藤田先生(久留米あかつき幼稚園の藤田喜一郎先生)。この二人と出逢えなければ、今こうやって喜多川先生とも会うこともなかったでしょうし、今のように園児さんが沢山来てくれることもなかったですね。

それくらい、この二人にはサポートしてもらったんです。

 

育てたと言うより、共にここまで来ました、という感じですね。「最初は許せなかった」と言えば、園長になられた当時に、「職員の大量離反という憂き目に遭遇した」って何かの記事で読みましたが…そういう事ですか?

 

幼稚園を継いで5年我慢したんですよ。
「この先生という人達は…何でこんな偉そうしにしているんだろう」とか、「常識知らないな」とか思ってもひたすら我慢してました。我慢していたんですけど、もう限界だったんですよね。
ある日、ピシッと「絶対変だ!おかしい!」って言ったら、ほとんど辞めました。
その時、今の副園長、関先生が当時はパートでしたが、
「副園長先生(当時は白水先生が副園長でした)のおっしゃってることは絶対に間違ってません」
って言って、ほとんど辞めた中で彼女だけは残ってくれたんですよ。
翌年たくさんの新任が入ってきてくれたんですけど、17年経った今でも5人残ってくれて園の主任や主要メンバーとして仕事をしてくれてます。家族よりも付き合いが長い!

だから、本当になんか育てたというより、そのメンバーたちと苦楽を共にしてここまで来たっていう感じですね。
だから、経営者は孤独だという言葉がよくありますけど、私には彼女達がいるので感じたことはありません。

 

男の子は全員逆立ち歩きができる。女の子はみんなブリッジ回転ができる。そして、男女を問わずみんな跳び箱を八段飛べる。そういうことを始めたのは、以前のやり方をしていた先生たちが辞められて、白水先生の代になってからということですね。

 

そうです。
その前は「モンスターペアレンツ」という言葉が流行った時期で、うちの園も毎日いろいろ言われていました。そうなると、親の要望を満たすことが自分の仕事…みたいになってきて、クレーム処理が上手い先生がいい先生みたいなのもあったり。
とにかく何かやる度に何か言われていて…もうこのままではいけないと。

要望聞くばっかりで、先生たちも毎晩帰りが遅くなっていく。本当にやりたいことはできていないのに、ドンドン疲弊していくんですよ。それを何とかしたい…教育という原点を見つめ直したいということで、今のカリキュラムに変えました。僕は、そのカリキュラムを受けている子供たちの目を見たときに、「これしかない」と思ったんです。
目の輝き方が違うんですよ。でも、結果、長年の積み上げのカリキュラムを変えたことで、たちまち保護者に噂が広まって大変なことになりました、でも、子供は間違いなく成長しているのを実感し、変えたことに間違いはないと思ったので・・・思い切って、保護者を全員集めて、
「僕はこのやり方を絶対変えない!」って、覚悟を決めて初めて親に啖呵を切った瞬間でした。

 

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