初めて来た人とかには、今の自分が成長したらこうなれるといったちょっと先の姿を見せたりもするんですか？

 

します、します！

初めて来た人には、こういう風に練習していくと、自分の判断で川下りができますよ～っていう行き先が見えていると続けやすいと思うんですよね。それと同時に、次のステップではこんなことをやりますよ、というかんじで小さな目標もわかるようにしています。物理的にも、ボートはここで預かれますよ、とか、漕ぐ仲間はこうやって見つかりますよ、みたいにできるだけ具体的にイメージできるように説明します。

 

僕みたいに、来た時に「ロールができるようになりたいです」っていう明確な目標をもって入ってくる人もいるんですか？

 

いますけど、そういう方はロールができるようになったら、もう来なくなります。ロール講習だけ来る人とかもいますよ。リバーカヤックで川下りしたいわけじゃなかったりするんですよ。

 

それは、意外ですね。僕も最初はロールしか考えてなかったんですけどね、ここに来る前は「ロールができれば無敵だ」ぐらいに思っていたんですよ。だってひっくり返っても自分で上がれるわけですから。ところが、実際に始めてみると「ロールができてからようやくスタートラインに立てる」みたいな感じだと気付いたんですよね。

 

多分、喜多川さんはその先の川下りもちゃんとできるようになりたいっていうのが、うっすら見えていたんだと思いますけどね。ここに来る前に七年間、川下りもされているので。

 

その七年間はずっと初心者のまま成長しませんでしたからね。それがとあるきっかけで、…一番は、海洋冒険家の白石康次郎さんのおかげなんですけれども、とにかく「ロールをマスターしよう」って流れになって、教えてくれる場所がどこにあるかなって探したんですよ。
Youtube には海外の映像がいっぱい上がってるんですよ。でも、海外はほとんどプールで練習してるんですよ。「プールでやるの、いいな～っ」て思いましたね。だってあまり怖さがないじゃないですか。失敗しても流される恐れがないし。
でも日本にはプールで教えてくれるところがほとんどないんですよね。そうこうしているうちに、後藤さんのロールのビデオに行き着いたんですよ。
あれを観て、いや、これはね～、表現的に適切かわからないですけど、「美しい！」と思ったんですよね、ロールの上がり方が。「いや～美しいわ～！！」って。感動したんです。見ていて飽きない。
それまでに他の人の映像もいっぱい観たんですけど、ロールをしている姿を見て、「うわ！美しい上がり方だ！」とは感じたことはなかったんですよね。
で、あのビデオの中にロールの方法だけじゃなくって、ちょっとした瀬遊びしながら沈して、ロールしてまた瀬に復帰するみたいな映像が流れるじゃないですか。あれが、とてつもなく格好良く見えたんですよね！
あれ見て、「上がれるだけじゃダメだ！」「あれ、やりたい！」みたいな（笑）それで、この人に教わりたいなって思ったんですよね～。

（ロールの動画はこちら）

動画を無料で配信して、よかったですね～！
以前は有料だったんで（笑）

 

あれ観て来ましたって人結構いるんですか？

多いです！
あとは、来ないまでも、あれ見て練習しました～！って人も。
だから地方に川下りに行っても、私は知らないけれど相手は知っているみたいな。
収録からだいぶ年数が経って、見た目が一致しなくなってはきてますけど。（笑）
観ている人は相当多いですね。

 

あのビデオだけ見て自分で自力でやってみるって、相当根性ありますね！（笑）

 

いるんですよ～！
通販でビデオを売っていたんですけど、購入希望の方はだいたい地方なんですよね。九州とか、あと東北方面の人とか。近場で教えてくれるスクール的なものがないんですよね。だからあれを観て一人でコツコツ…みたいな人がすごい多かったですね。

 

さっきの「続く人の共通項としては極め癖の人が多い」っていう話に戻しますが、その中でも、成長が早い人と、そうでもない人がいると思うんですけど、成長が早い人の共通項みたいなのはありますか？

 

やっぱり「素直」ですかね！
なんかこう…疑わしくてもやってみるみたいなところ？（笑）　ある意味！

 

やはり、何でも同じですよね。（笑）
でも、先生に言われている通りにやったら、うまくいかなくなっちゃうことってあるじゃないですか。自分なりの感覚っていうのを持っていますよね、誰もが。初心者であっても、ある程度熟練した人であっても自分なりの感覚っていうのを持っている。その自分なりの感覚でやっている時に、その感覚が成長を邪魔しているときってあるじゃないですか。でも、素直にアドバイスを受け入れて、先生に言われたとおりにやってみたら、いつもはひっくり返らないところでひっくり返っちゃたりすることもあるわけですよね。自分の感覚とは違うことをやっているから、うまくいかない。だから経験を積めば積むほど素直であるというのは難しいことじゃないかと思うんです。