Interview 12 白駒妃登美さん
2019/10/24
そういう歴史教育が行われている状況の中で、白駒さんは色々なところで話をされていますよね。それこそ学校などでも。
どうですか? 白駒さんの話を聞いた中高生の反応はどんな感じなんですか?
そのリアクションとか、その感想に、こちらが感動しているんですよ!
普通の講演会に来てくださる方々も本当にありがたく、素晴らしい反応してくださるんですよ。
でも、やはり感動が大きいのは中学生や高校生とかに授業させていただいた時です。
「最近の子供たちは冷めているとか、エネルギーが低い」みたいなことを聞いていたんですね。
でも、全然違うんですよ!!もうね、本当に身を乗り出して聞いてくれて、中には涙を流すような子もいたりして、知らなかっただけなんだって思うんですよね。
知ったら、こんなにね、豊かな感性をこの子たちは持っているだな!と思って。
結局、いつの時代も「今の若い子たちは…」って大人たちは言うじゃないですか(笑)。
それって、いつの時代も若者の問題なのではなくて、大人の問題だと思うんですよね。
ちゃんと伝えてこなかった、大人がいたんだよねっていう…そんな感覚ですかね。
私ね、希望しか持ってないんですよ、未来に。
知らないだけだから!
ちょうど私は、偏った歴史教育を受けて、凝り固まって海外に行って、「あぁ!違うんだ!」って気づいた。正直、最初からそんな素敵な歴史を教えてもらっていたら、その感動はなかったと思うんですよね(笑)
知らなかったゆえに、感動できたということですね。
そう。「知らなかった~!!」っていう感動なんですよ。
だから、今の若い人たちもそうで。
確かにね、日本の歴史教育っていうのは、例えば、
他の国と違って、建国の歴史にも触れないし、近現代史なんて、ほとんど触れないじゃないですか。そこは、真の国際人を育てるためには触れるべきだとは思うんですけどね、残念ながら触れられない。
でも、だからこそ、知った時の感動は大きいはず。そう考えることもできますからね。
過去をいくら悔やんでも、いくら嘆いても何も始まらないので、それをプラスに捉えるしかないなって思っているんですね。
白駒さんご自身の中では、それまで知らなかったことを学び始めて、日本の歴史だったり、もしくは、「歴史」っていう言い方じゃないのかもしれないですけど、この国に生きた人々の人生を知ることで、どんな変化が起こっていったんですか?
そうですね。色々な気づきがあったんですが・・・
私、本当に、今でこそこうして日本人の生き方とか、歴史や文化の素晴らしさをお伝えしているわけなんですけれども…10年くらい前まではですね、真逆の生き方をしていたんですよね(笑)
真逆ですか?
そうですよ!!
ナポレオン・ヒルとか読みあさって。
なるほど!なんか、イメージとは違いますね。
そうですよ~!!常にね「夢!」とか、「目標!!」みたいな!(笑)
「常に目標を持っていなくちゃいけない!!」みたいに思ってたんですよ。
子育てとかもね、「子供が1歳になったら、○○をやるのがいい子育てなんだ!」みたいな(笑)
「人間と動物との大きな違いはね、箸を使って食べることだから」って、早くから子供にお箸を使わせたりとかですね。
もうね、本当、今考えるとちょっと笑っちゃうような生活をしましたね。
ヘェ~!!意外ですね!(笑)
私ね、大病を患いまして、お医者様から「もう助からない」って言われたところから人生をやり直してるんです。それが、2010年なんですよ。
そうなんですね。
それまでは、全然違う生き方をしていました。
その大病がきっかけになったのと、そのタイミングで、「ひすいこたろう」さんと共著で本を出させていただくっていうことになって。
私ね、もう自分は絶対、間もなく死ぬと思っていたわけですよ。医者からもそう言われたので。
そのときには「子供のためだけに残された時間を使いたい」っていう思いが強くありました。これは母親としての自然と沸き起こってきたんです。でも、そのタイミングで出版のお話をいただいた時に、
「あ~自分が間もなく死んでしまうなら、今まで生きてきた証を一冊の本に残してから死にたい」とも強く思ったんです。
この残りの時間のことを「命」と呼ぶんでしょうけれども、「命」の使い道で葛藤したんですよ。
私は最初、どちらに使うのか?という感じで、すごく大きな葛藤を抱えたんですけれども…
ハッと気づいたんですね。「これって、別に相反することじゃない」って。
つまり「子どもへの遺言として書こう」と思ったんです。
なるほど。