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Interview 14 佐原総将さん

2020/03/04

もう退路を断つためにそうやって飛び出した方が、自分的には気持ちが楽だったということですかね?

はい。でも辞める時にめちゃめちゃ泣きましたけど。

あははは(二人で)

靴磨きも結局、目の前の人を笑顔をしたい、っていう思いは変わってないので、それこそテーマパークで働いていたら、来る人達を笑顔にするというのは、毎日できることじゃないですか。だから、媒体がテーマパークなのか靴磨きなのかっていう違いあると思うんですが、やりたいことは変わらないんですけどね。

その路上に出て、靴磨きを始めた時に、いやぁちょっとこれしんどいなとか、というふうは思わなかったですか。

思いましたね。路上での靴磨きと同時にYouTubuもスタートしたんです。9月1日に路上でやる前から、「世界一の靴磨き職人になるために、僕はこれから世界一周に出ます。その前に日本一周に出ます。でも技術がないんでまず路上で腕を磨きます」っていうのを、まだやったことないのに先に公言してしまって。まさに本当に退路をまず断ってから路上に出たんですね。

ところが9月1日に路上に出てみたら。0人だったんです。4時間位待ってたった一人止まってくれたっていう感じだったので。それもお客さんにカウントできないような感じの止まり方で。当初の予定では四時間あったら1時間に一人は磨けるだろう、という思惑があったので。これは、やっちまったなと思いましたね。

あははははは(二人)

やってしまいました、これは。

それが、「でもやって良かったな」って変わった瞬間は?

9月2日です。

次の日にもう1回路上に出て、やっぱり2時間ぐらい経っても誰も来なかったんですけど、ようやく一人、気にしてくれた方がいて。僕から声をかけたんですね。「今靴磨きやってるんで、10分で終わります。お代はお気持ちで大丈夫なので、よかったら磨かせてください」って伝えたんです。そうすると「ご飯食べてから戻ってくるね」と言われて。断られたなと思っていたら、本当にその方戻ってきてくれたんです。その方が、初めてお代を頂いたお客様になるんですけど。最初のお客様と話をしながら、まずは僕の想いをすべて語ったんですね。ここに至る経緯とかを。そのあとで、お客様にも夢を伺ったら「僕はこういう夢があります」という話をしてくれたんです。

どうして夢を聞いたんですか?

大人は夢を語れなくなってるって、レゴランドで働いてたときに思ったので。その、夢を語る機会を提供したいっていうことと、その想いを込めて靴を磨きたいんです。僕が靴を磨いたお客様がこれから何か勝負するとき、例えば、仕事で営業に行くときとか、商談行くときとか、もしかしたら好きな人に告白するときに、必ずこの輝いた靴を見て欲しい。で、そのときに、あぁ俺なんか夢語ってたなぁっていうのを、思い出して欲しいんですね。その話をその方にしたら、すごく感動していただいたんです。そこで、「君は世界一の靴磨き職人になれるよ」って言っていただいたんです。そのときに、はじめて第三者の人に承認してもらえて、やれるって思いましたね。

なるほど。商売として採算がとれるという経験というよりは、本当に、自分が手に入れたいものを手にした瞬間に「やってよかった」と思えたんですね。路上修行はどのくらい続けられたんですか?

合計30日。100人磨かせていただいたと思いますね。

そのあと日本一周の旅に?

はい。一番最初は、北海道から始まって最後は沖縄ですから、一周というよりは縦断ですが。

まぁ、いろいろあったでしょうね。

そうですね。実は世界一周の活動資金をクラウドファンディングで募って旅に出るんです。ご支援していただいた方々にリターンで「日本一周体験記」っていうのを書いているんですが。北海道だけで相当な文量があって。いや、これ一冊の本でも収まらないほどの文量なんですよ。

北海道だけで何回泣いた?っていうくらい、感動してるんですよね、実は。

スタートは?

札幌駅の前でした。またそこで、絶望に陥るんですけど。

やっぱり名古屋や大阪やってたときは、やるにつれてお客さんが増えていくんですね。固定客も来てくれますし、あの何回も目の前を通ってくれたら、「次おったら、磨いてもらおう」って考えてくれるみたいなんですね。そこで少しずつ信用が貯まって、磨かせてもらえるっていうのがあったんですけど。要は、日が経つごとい増えていくっていうのが路上スタイルかなって思うんです。それは、路上ミュージシャンも絵描いている人もそうなんですけど、北海道で本当に新参者っていう感じで行ったときに、いやこんなにクソ寒い中なで何してんのやろっていう、、。

はははは。

僕自身もポップを持ちながら声を出して、お客さんを呼んでるんですけど。手がかじかんでる中で、お客様が来たところで僕は磨けるのかっていう不安もありました。結局最初はやはり寒いだけでなかなか難しい。打開策として、まず人と会わないといけないなって思って、いろいろイベントとかを調べたんです。SNSを通じて何かやってないかなって。調べてみたら結構あるんですよ。英会話コミュニティーがあったりとか。何かの体験会があったり、勉強会とかがあったり、500円から参加できるものとか、無料でやっているものとかも。僕はそこに行って、本当に自分自身も磨きたいっていうのもあったので、参加して、なんでここに参加したの?っていう話をするときに、「今靴磨きで日本一周してるんです」っていうことを伝えたんです。そうするとようやく、じゃぁ、せっかくやから磨いてくれる?って磨かしていただけるようになったって感じですね。そこからその人が紹介していただいたりとか、会社に連れて行ってもらったりっていう感じで、どんどんどんどん人が、磨かしてもらえるようになりました。

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