サクラ咲け 〜優しき先生への道
2024/04/01
2024年3月
L&R ヴィレッジから出版された
喜多川泰の著作
「サクラ咲け 〜優しき先生への道」
これから先生になりたいという学生さん。
先生になって2〜3年という新人さん。
先生を辞めようかと迷っている中堅さん。
どうやって若い人を指導すればいいのかを考えているベテランさん。
それぞれの立場で違った学びのある
喜多川泰からの魂のメッセージの数々。
きっと今目の前の壁の向こうに行くためのヒントが見つかると思います。
一般書店やAmazonなどでは取り扱っておりません。
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先生を続けていると、
「自分みたいな人間が先生をやってちゃいけないんだ」
と思い込んでしまうことがある。
でも、僕はそういう人ほど、先生を続けて欲しいと思っている。
そんな人こそが、先生に向いているんだって知ってほしい。
喜多川泰
はじめに… 日々漸進する覚悟を
子供の頃からの夢を叶えて「先生」になったという人は多い。ところが近年、精神疾患を理由に休職や退職する先生の数が増え続けている。せっかく努力を積んで子供の頃からの夢だった「教師」になることを実現したにもかかわらず、子どもの前に立つのが怖くなり、苦痛になり、身体が動かなくなってしまうなんてこれほど悲しいことはない。
その現状に対して何かできることはないかとずっと考えていた。そして、僕の経験が誰かを救うことになるかもしれないと思い本書を書くことにした。
「いい先生」になるためには、たくさんの経験と時間、そして良き指導者との出会いが必要だ。
それらが揃っていても、少なくとも十年はかかると覚悟した方がいい。簡単に辿り着ける場所ではないというのが事実だ。そうなるまでは、何度も授業で嘘を教えるだろう。失った信用を取り戻すために必死になる必要もあるだろう。「隣のクラスが良かった」「前の先生が良かった」という声に何度も出会うだろう。たくさんの失敗と後悔を繰り返して、それでも「二度とあんな思いはさせない、そしてしない」と歯を食いしばって何度も立ち上がる先に、ようやく「先生」としての「一人前」がある。その覚悟を持ってほしい。
どれほど大変でも、先生になったからには、そこには辿り着かなければならない。なぜなら、生徒は教わる先生を選ぶことができないから。
・・・・中略・・・・・
一方でたくさんの先生を育ててきた僕が思うもう一つのこと。
それは、どんな人でも「素晴らしい先生」になれるということだ。
人前で話すのが苦手でも、厳しいことを言うのが苦手でも、優しくするのが苦手でも、褒めるのが苦手でも、授業で笑いがとれなくても、生徒から人気がなくても、知識や経験が他の人に比べて乏しくても、自分は先生に向いていないと思っていても、全く問題ない。
「目の前の生徒のために、昨日の自分よりもほんの1ミリでも成長できるんだったら、どんな努力でもする」
という気持ちさえあれば、必ず素晴らしい先生になれる。
僕は「先生になりたいです」と面接に来た若者に必ずそのことを伝えた。
厳しい表現かも知れないが、出会った生徒のために自分が努力をして少しでもいい先生になりたいと自然に思える人じゃなければこの仕事は向いていない。
逆にその気持ちになれるという人は誰でも「先生は天職だ」と思える人になれる。絶対になれる。
ただし、一つ忘れてはいけないことがある。
それは頑張っていない先生などいないということ。
誰もがみんな、自分なりに必死で先生という仕事に頑張って向き合っているのだ。
それにもかかわらず、いい授業をしている先生が少ないのだとしたら。報われない先生が多く、精神的に病んでしまう人が増加しているのだとしたら。
それは、頑張りのベクトルを間違えているということに他ならない。
頑張らなければならないことから逃げて、頑張らなくてもいいことを必死で頑張っている。
それでは頑張れども頑張れども、苦しくなるだけだ。
大切なのは、何をどう頑張ればいいのかを知り、そこに挑むことなのだ。
そのためには導いてくれる人がいた方がいい。そういう先輩・師匠との出会いは、あなたを加速度的に成長させてくれる。
「その覚悟はある。でも誰に教わったらいいかわからない」
ここまで読んで、そう思えただろうか。そう思えた人は続きを読んでほしい。
そんな人のための入門書が本書だからだ。
入門書ではあるが、指導力・授業力に定評のあるベテランの先生でも役に立つ内容がたくさん散りばめられていると思う。ベテランの先生は後進の指導に活かしてもらいたい。
基本的には誰の助けもいらず今日からでも一人で始められる内容ばかりを記した。
書かれている順番はおよそ僕が指導をしてきた順番になっている。
読むだけなら一日もかからないだろうが、内容を身につけつつ次章に進むという読み方をすると各章ごとに数ヶ月、章によっては数年かかることもあるだろう。
それでも実践し始めたら、ほんの数日でも変化を感じることができるだろう。
それを続けてほしい。
この本と向き合い、今年一年間、少しずつでいいから実践してみてほしい。
真剣に取り組めば、本書はあなたの先生としての人生を変える「運命の一冊」となるだろう。
僕は、せっかく先生になったんだから、すべての先生に幸せになってほしいと心から願っている。もちろん、あなたにも。そのために、これまでたくさんの先生を育ててきた僕が、先生になる人に伝えてきた「土台」をこの一冊に凝縮する。
さあ、覚悟と希望をもって、共に漸進しよう。
本文より…