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スタートライン

2012/07/14

 

【発行日】2012/7/14

【出版社】Discover 21

 

【内容】

将来に漠として不安を抱えながらも、やりたいこと、やるべきことを見つけられないまま勉学に勤しむ高校3年生の大祐。
東京からの転校生、真苗に、一瞬のうちに心を奪われた大祐は、彼女に誘われて、大きな夢を実現させている人たちの講演を聴くうちに、人生を真剣に考えるようになる。
そして、ある日、ついに大祐は真苗に告白することを決意するが……。

多感な高校生のほのかな恋愛ストーリーのなかに、ちりばめられた著者の熱い想いが、読者に、夢に向かって一歩を踏み出すこと、
計画ではなく情熱をもって行動し続ける勇気を与えずにはいない傑作自己啓発小説。

「今、君がおらんなっても何も変わらんかもしれん。
でも、君が生きておれば世の中は大きく変わるいうことを忘れちゃいかんぞ。
今の自分にできることで、自分の価値を判断しちゃいかん。
将来の君らは、今の君らが想像もできんほど大きなことをやって、
多くの人の幸せを左右する存在になってるはずや四年後の自分の可能性を舐めるなよ」
「自分のやりたいことに挑戦する勇気を持った人にとっては、
未来には、今君らが考えている以上に、楽しいことであふれた毎日が待っている」
「本気でやれば何だって面白い。
そして、本気でやっているもののなかにしか、夢は湧いてこない。夢はそこらへんに落ちているものではない。
夢を探すという言葉を使う人がいるが、探しても見つかりっこない。
見つかるのはせいぜい、儲かりそうな職業や、これならやってもいいかなと思える仕事にすぎない。
夢というのは、自分の内側にしかないものなんだ」
「目の前のことに本気で生きれば、奇跡が起こる。
でも、本当は、それは奇跡ではなく、当たり前の出会いなんだ。
本気で生きる人には、必ずその夢の実現を応援する人が現れる」

 

 

 

Officeはげっち淨德和正さんによる推薦文】

脚本家の倉本聰さんのエッセイにこのような話がある。
ゆったりと流れる川がある。
その川の右岸より眺める者と左岸より眺める2種類の人間がいる。
右岸にいる者は批評家。左岸にいる者は創る側の人。
右岸にいるひとりが左岸に行こうと川に飛び込んだ。
しかし、川の流れは早く下流へ下流へ流されて
たどりついた左岸は目指していた場所よりはるか下流だった、と
いう内容だった。
それを読みながら倉本さんから、
「さぁ、君は右岸を歩く人?それとも左岸なのか?」と
問われてるような思いになった記憶が鮮明にある。

それを読んだ僕は無謀にも倉本聰さんが主宰する
富良野塾(俳優と脚本家の養成)への入塾試験を受けに行った。
まだ20代でサラリーマンをしていた。
1次試験はパスして2次試験。
脚本家は筆記試験と面接。
面接では目の前に倉本聰さんがいた。
無謀の先は結果は不合格。
でも一歩でも半歩でもいいから踏み出してみないと
見られなかった景色がある。
何かつかめるものがある。

「スタートライン」は将来に漠然と不安を抱えている高校3年生の大祐が
東京からの転校生、真苗に一瞬のうちに心を奪われるところから始まる物語。
あるとき、真苗から大祐は講演会に誘われる。

〈本文より〉
「君らは、自分ひとりくらいこの世からおらんなっても、
世の中、何も変わらんて思ってるかもしれん。
たしかに、今、君がおらんなっても何も変わらんかもしれん。
でも、君が生きておれば世の中は大きく変わるいうことを忘れちゃいかんぞ。
君らは今の自分にできることで、自分の価値を判断しちゃいかん。
将来の君らは、今の君らが想像もできんほど大きなことをやって、
多くの人の幸せを左右する存在になってるはずや。
君らは、これから大きな存在になれる可能性の塊だということを
忘れちゃいかん。
人間はたったひとつのきっかけで、信じられない変化を遂げる生き物や。
五年後の自分の可能性を舐めるなよ」

なんてことをズバッと言うんだ。
しかも真面目な顔で、まるでこちらの心を読んでいるかのように。
もちろん、そんな熱いことを言う宮下先生を嫌う生徒もいたけれど、
ぼくは素直にシビれた。
かっこいい考え方だと思った。

 『スタートライン』より