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きみが来た場所

2017/01/26

 

「母さんのコロッケ」(大和書房)の新装版。

新たに、続編を追加してDiscover 21より出版。

 

 

<内容>

会社を辞め、生きる力を育てる塾を立ち上げた秀平。
家族を支えながらも経営がうまくいかず、不安な毎日を過ごしていた。
そんなある日、口に入れると「自分の先祖が体験してきたこと」が夢となってあらわれる「ルーツキャンディ」を手に入れる。
秀平は祖父たちの生き様、決意、つないできた命の奇跡を知るなかで、これから自分の子として生まれる新しい命と、
塾の子供たちに伝えなければならない大切なことに気づいていく。

 

 

 

Officeはげっち淨德和正さんによる推薦文】

僕たちは先人からの命のバトンをあずかっています。
両親、祖父母、高祖父母までを数えるただけで14人。
4代前にさかのぼると30人。そのなかのひとりでも
命が絶えてしまっていたら、僕らはこの世に存在していないことに
なりますから、それだけでも奇跡なことなのです。

医師の日野原重明(2017年7月没)さんが生前
「いのち」についてこのように語られていました。
命は体の中のどこにあるのかと聞かれると、
みんななかなか答えられない。
命とは一人一人のもっている時間であり
自分でつかえる時間が命なのだと。
その命を自分のためにだけではなく、人のために使うことが
本当に命を使うことになるのだと。

『きみが来た場所(母さんのコロッケ)』は、主人公の秀平が脱サラをして
子どもたちに「挑戦する勇気」を与える塾を作ろうとしますが
なかなか思うように生徒も集まらず焦りはじめたとき
たまたま入ったコンビニに和服の女性の店員がいて、
そこで買ったのど飴が「ルーツキャンディ」だった。

〈本文より〉
自分が知るはずのない過去の出来事を知る。
はじめ、それは秀平にとって耐え難い苦痛だった。
祖父母の時代は、家族に起こる出来事が過酷すぎる。
きっとそれは秀平の家に限った話ではないのだろう。
本当に日々生きることが命がけの時代だったのだ。
今の自分がその時代に生き、同じことを経験していたら・・・と
考えると、とても彼らのように強く生きられたとは思えない。
しかし、彼らはその過酷な運命を受け入れ、
自分にできることを全力でやって命をつないでくれた。
だからこそ、今、自分がここにいるのだ。
秀平は目を背けてはいけないと感じるようになった。
「俺も、すべて受け入れよう」

「きみが来た場所」より