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初心者でいよう

2021/07/01

「初心忘るべからず」

何度も耳にしてきた言葉だが
これほど難しいこともない。

「初心」というのは
「それを初めてやったときの気持ちやワクワク」的な意味であろうと
なんとなく理解している人も多いだろうが
この言葉を残した「世阿弥」は、
「初心」=「何もできない未熟な頃の自分」と定義している。

先生を始めた頃は、誰もが何もできない未熟な存在である。
一年目から「すごくいい先生」なんて存在しない。
それを、いろんな人に助けてもらい、教えてもらいながら
育ててもらう。
十年ほど続けて、いろんなことができるようになると
そういう時期のことを忘れて
みんな、自分で育ってきたような顔をしているけど
実は、誰かが時間や労力をかけて育ててくれたということを
忘れちゃいけない。

そういう自分も
「初心」を思い出せば、振り返るほどに、本当に
善意で育ててもらったことばかりで
その人たちに何も返していないことに愕然としてしまう。

どこまで行ってもまだまだ未熟だ。
あの頃と同じだ。
と思うからこそ、生涯にわたって成長できる。

とはいえ、「初心者」は
「未熟なままだと人前に立つことができない」と
考えていると、いつまで経っても人前に立てないままになってしまう。

だから、未熟なまま人前に立つ勇気と
未熟なまま人前に立つが故に、一日も早く日々の稽古で
少しでも成熟に近づけるようになりたいという誓いのバランスが重要になってくる。

いつまでも
「行動力ある初心者」でいよう。