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◯年に一度

2021/07/26

「セミは土の中に7年いて、外に出てきたら一週間しか生きられない」
と言われている。

実際にはアブラゼミであれば、幼虫期間は3年ほど、成虫になってからは1ヶ月ほど生きるらしいが
詳しい生態は明らかではないそうだ。

ウサギの個体数の増え方からフォボナッチ数列が発見されたように
自然界には数列が満ちている。

蝉の中には「13年セミ」、「17年セミ」と呼ばれる蝉がいる。
名前の通り、幼虫期間が13年や17年と長いセミだ。

蝉の幼虫期間が3、7、13、17と「素数(1とその数以外約数を持たない数)」であることには
さまざまな理由が考えられている。

一つは卵をダメにする寄生虫やセミを餌とする他の動物の大量発生周期と極力合わないようにするため。
例えば今年「17年セミ」の大量発生があったとする。同時にその卵に寄生する寄生虫の大量発生が起こり、この寄生虫の周期が4年だとすると、今年「17年セミ」は寄生虫の被害をたくさん受けることになるかもしれないが、次にこの寄生虫の大量発生と遭遇するのは、17と4の最小公倍数
17×4 =68

つまりセミからすれば四世代のちの68年後ということになり、その間寄生虫の大量発生には合わずに済むので、個体数を回復できる。これが、17年ではなく16年なら、16と4の最小公倍数は16なので、すべての世代がこの寄生虫の大量発生と時期が重なってしまうことになり、個体数が減り続けやがて絶滅してしまう。

もちろん「17年セミ」は、毎年どこかで成虫になり卵を産んでいるのだが「大量発生」する年があることによって種の維持を図っている。17年土の中にいて、外に出たら1ヶ月以内に婚活、婚約、結婚、出産をしなければならないセミにとっては、外に出てみたら、「相手はどこにいるのかな」と探さなければならない状況よりは、「そこにはすでにたくさんのパートナー候補が飛び回っていた」となるのが理想である。

13年セミと17年セミが同時に大量発生するのは 13×17=221年に一度しか起こらない。
これがもし、周期が12年と18年なら36年に一度重なることになる(18年セミにとっては毎回重なることになる)。
それらの蝉の交配によって別周期のセミが生まれ、別周期のセミは大量発生の時期とずれて成虫になるためパートナーを探しにくくなり徐々に個体数が減ってしまうのだそうだ。

自然の中には、知れば納得できる面白い数字が溢れている。特に「素数」。

逆に人間の作ったものは「約数」をたくさん持つものが多い。
「60」は秒、分で使われるが
1,2,3,4,5,6,10,12,15,20,30,60 と12個も約数がある。
これがもし「1分=59秒」だったら(59は素数)不便でしょうがない。

ってそんな話をしたいんじゃなかった。

 

今、繰り広げられている東京オリンピック。
大会序盤にしてたくさんのメダリストが誕生している日本だが、メダリストたちは
「5年間、この日のために」
ということを皆口にする。
セミの話を導入として、
「数年もの間幼虫として地中で過ごすセミのように」とか、
「自分も4年後のある日のためにすべての時間を」とか
「そんな勇気をもらった」という記事にしようと思っていたんですが
書き始めたら全然違う方向に行ってしまいました(笑)。

ちなみに2004年にはアメリカで「17年セミ」の大量発生があった。
今年2021年はその17年後。今年もあるのか気になるところ。