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四十八茶百鼠

2022/01/26

新型コロナウィルス感染症の影響は
僕たちの日常生活の様々な部分を変えていきました。

新しい変異株の蔓延やそれに対する政府の措置が出されるたびに
予定の変更を余儀なくされたり、考えていたことを辞めざるを得なくなったり

そういうことが続くと「自分で考える能力」を放棄してしまいがちになります。
思考停止に陥り、言われたことに従うだけになる。
本来は、命令ではなく選択の余地がある部分にもかかわらず
「結局どうしたらいいの?」
と言われた通りに言われるがままに従うという姿勢となり
それが「自分の判断である」という感覚すら持てないままに
同じように従わない人を責めたりすることすらある。

江戸時代、華美な服装が御上によって禁止された。

着物は紺、茶、灰のどれかの色に制限される。
それによって、日本には「四十八茶百鼠」と言われるほど豊富な茶色や灰色の文化が生まれた。

灰色という狭い幅の中にこれほど多くの名前がつけられる文化は他にあるのだろうか。
単純に命令に従うことも、あからさまに法律を破ることもよしとせず
理不尽に与えられた枠の中であっても
「だったらこうしてみよう」
と楽しむ工夫をし続けた結果、誕生したとも言えるのではないか。

思考停止に陥ってすべてを諦めてしまうのではなく
「だったらこうしてみよう」を考えてみれば
個人の人生レベルにおいては
比較的簡単に新しい文化の芽が出るかもしれない。