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「今更聞けない」を変えよう

2022/01/27

誰かに何かを聞きたい、教えてもらいたい、助けてもらいたいと思うことがあっても
いざ、「教えて」とか「助けて」と
誰かにお願いしたときに
「そんなこともできないの」「レベル低!」
と思われるんじゃないか、ばかにされるんじゃなかと思うと
素直に言えないということがある。

例えば、僕も年齢とともに「今更聞けない」と思うようなことが増えてきた。

スーパーのレジでの決済方法だ。

「現金・クレジットカード」の二択の時代にずっと生きてきた。
そこに「プリペイドカード」が入ってくるまではなんとなく誰に聞かなくてもついていけたが
今や「Paypay」とか「LINE Pay」、「Apple Pay」など
数々の決済方法があって、入金の仕方はコンビニの店員さん、
支払いの際はスーパーのレジの人に使い方を教えてもらわなければ
どうするのかもわからない。
「そんなことしなくてもセブン銀行に口座をつくれば」
とか説明してくれる人もいるが、そもそもそれも説明されなければわからない情報だ。
そこに、「キャッシュレス決済の「かながわpay」を使って買い物をすると、総額〇〇億円まで…」
みたいなことを行政も行う。
新しいキャンペーンが行われるたびに、その使い方もまた誰かに聞かなければわからない。
聞かずに自分の力で解決できるとしても、決済の際、慣れるまではもたついて時間がかかる。
結局、聞くのが面倒で「現金で」と言ってしまう。
それが一番早い。

聞いた店員に「そんなことも知らないの」「レベル低!」と思われることを恐れているわけではない。
後ろに並んでいる、レジ待ちの他の客に「あいつ遅い!」「そこに行くまでに準備しとけよ」と思われるのが嫌なのだ。

どうしてそんな風に感じるのか
それは、自分がそう思っていたからだ。ということにふと気づく。

レジに並ぶ時の人間の心理は多くの人が同じである。
「どの列が一番早いか」
を見極めようとする。
その判断要素は一つではなく、たくさんの要素が絡み合って決められるはずだ。

並んでいる人の数が少ないのはもちろん
それぞれのカゴの中身の量
レジの人の熟練度
並んでいる人の年齢層も大事な判断基準となるだろう。

そうやって「ここ」と決めた列に並んだ結果
他の列よりも自分の列の方が早く進んでいるのがわかったときには
やはり、自分の分析力に少し嬉しくなる。
一方で、想定外のことが起こることもある。
支払いの際に、
「ちょっと待って、9円あるわ」
と言って、カバンの中から別の財布を取り出し、一円玉を一枚ずつゆっくりと小銭入れの底から探し出して9枚出そうとしている人がいたり、
「あ、これ破れてるから変えてくれない?」
と言って、商品の交換を頼んでレジの人がいなくなったり
「ポイントカードはお持ちでしょうか」
と言われて、
「あるかなあ」
と、それからカバンの中を探し始めたりする人がいたりすると
他の列は順調に動くのに自分の列だけ動かない状態になる。
隣の列に、自分より後から並んだ人が、自分よりも先にレジに到着するときに、チラッとこちらを見たりすると
「判断力が甘いんだよ」
と言われているような気にすらなる。

それが、素直に聞けない原因である。

「バカにされるんじゃないか」「あいつ、使えないと思われるんじゃないか」
と思う人は、自分が逆の立場のときに、相手に対してそう思っているだけだ。

「ただ自分は迷惑をかけたくないから、遅くなるくらいなら『現金で』と言ってさっさと済ませてしまう」
という言葉だけ聞くと、周りのことを考えた優しい人に聞こえるが、その人が同時に
「他の人は、どれだけ時間がかかっても、自分はまったく気になりません」と思っていることはほとんどないと言っていいだろう。

レジ前に限らず、人生のあらゆる場面で
「ああ思われるんじゃないか」「笑われるんじゃないか」「バカにされるんじゃないか」
と思って結局行動をしなくなるというのは、同じ構造をしている。
結局、他人がそれをしたときに、そう思う自分がいるということでしかない。

それで多くの人が、何の挑戦もせずに終わってしまう。

レジ前では、他人に対する寛容さがないと、結局は自分の首を絞めるということを教えてもらえる。

そんなことを気にせず、人に聞ける人になるためには、
まずは自分の中にある他人の振る舞いに対する寛容さを変えるところから始める必要がある。

「こんな風に思われたらどうしよう」
そう思った瞬間に
「そう思っている自分がいるんだ」
と気づければ、人生は変わりそうです。