扉を開けろ 小西忠禮の突破力
2017/01/01
書名:「扉を開けろ 小西忠禮の突破力」
著者:高久多美男
出版社:フーガブックス
< 喜多川の書評>
日本人で初めて、ホテルリッツパリで働き、世界中の超一流レストランを渡り歩いた日本フランス料理界のパイオニアである小西さんの半生を綴った自叙伝。不可能と思われる重い扉を開いたのは、まさに奇跡のような出逢いの連続があったから…ではありますが、その奇跡の出会いを生んだのは、まさに小西さんの不屈の行動力でした。
帯には「夢は叶う」という力強い小西さんからのメッセージが記されていますが、小西さん自身が夢を叶えるために、まず最初にやったことは「覚悟を決めて退路を断つ」ということでした。
言葉もわからない、何のあてもないフランスに渡る前、それまでのすべてを捨て去り、ただ十の原理・原則を胸に日本を離れます。
一、人生に近道はない
二、たぐり寄せる行動をとる
三、どんな時も前を向く行動力を持つ
四、全力で取り組む
五、何をやるにも舞台は世界だ
六、凡事徹底
七、とことん考えて天地自然の理に従う
八、本物を見続ける
九、損得ではなく、常に善意で生きる
十、必ず世のため人のために生きる
「第六章 現場で培ったフィロソフィー」より
小西さんはまさにこの通りに生きた人だと言えます。当時まだ二十代の若者がしたこの覚悟こそが、夢を叶える原動力だったと言えます。
自らの人生の扉を開けたいと願う人に、その扉に向かい続ける勇気をくれる一冊です。
<あわせて読みたい>
書名:「初代総料理長サリー・ワイル」
著者:神山典士
日本のフランス料理は、この一人のスイス人から始まりました。小西さんとサリー・ワイルの浅からぬ縁についても知ることができる貴重な一冊。歴史を知るとそれに対する愛が深まります。読むと、フランス料理が食べたくなること間違いなし。